「コンテンツイエローページ松山」のイベントに参加して感じた地域に根ざしたブランディングを行うということ
フリーランスをスタートしてからずっとある悩みが、大学から東京に出て行って、昨年末に地元愛媛に突然帰ってきたので、こちらにクリエイターの友達が殆どいないことです。
いくらクラウドソーシングを中心に仕事をすると言っても、デザインやフリーランスのことをリアルに会って話す相手がいないというのは困ったものです。
そこで昨日は、数少ないクリエイター友達の地元のカメラマンに誘われて、「コンテンツイエローページ松山」という松山を中心に活躍しているクリエイターの交流イベントに参加してきました。
前半は、トークイベント「山間屋 中脇裕美 ×サコダデザイン株式会社 迫田司」。後半は異業種交流会というイベントです。
コンテンツイエローページ松山 | 松山市は2014年1月28日(火)、「コンテンツイエローページ松山」というフリーペーパーを創刊いたします。同市にはデザイン、写真、イラスト、映像等のコンテンツを生み出すクリエイターが数多く存在します。この冊子では市内在住のクリエイターの活動を紹介するほか、市内外のコンテンツ産業に関わる方々の事例を分かりやすくお伝えします。東京からのIターンクリエイター
前半のトークイベントの概要をHPから引用させて頂きます。
いよいよ明日!第2号発刊イベント | コンテンツイエローページ松山「クリエイター×企業」のマッチング実例として、サコダデザイン株式会社の迫田司さんと、山間屋の中脇裕美をお招きして対談形式でお話を伺います。両者がコラボレーションして生まれたのが、地元の米をブランド化「山間米」。グッドデザイン賞を受賞したパッケージをはじめ、その取り組みは多くのメディアからも注目を浴びました。
高知県の山間部で作っているブランド米「四万十山間米」。デザイナーの迫田さんは、元々、東京でデザイナーをしていましたが、カヌー好きが高じて高知に移住。そこで中脇さんと出会い、地元の野菜やお米、それらの加工品などもブランディングされている方です。東京から田舎へという自分との共通点もあり、とても興味深くお話が聞けました。
実は私の前の会社でも、四万十でポン酢や醤油、味噌を作っているクライアントさんがいたので、その仕事をしていた頃のことも思い出しながら聞いていました。しかし、東京のデザイン会社が田舎の会社をブランディングするのと、デザイナーも同じ場所に住んで地域に根ざしてブランディングを行うというのは大きな違いがありました。
地方でブランドを育てるのはファッションではない
地域のブランディングされた特産品というのは、安いものばかりではありませんので、都会の人がターゲットになる場合も多くあります。おそらくこの山間米も引き出物などにも需要があるとお話されていたのと、収穫量的にも基準をみたして山間米になるのはハードルが高いようなので、都会の方が買われる可能性も高いと思います。
ですから、当時は社内でも都会の人がイメージする田舎暮らしのような雰囲気で、ある意味ファッションとしての田舎をブランディングしていた部分が強かったように思います。しかし、実際に山奥に住んで、地域の人たちと一緒にブランドを作り、育てていくとなると、ファンション的な側面だけで行えるわけではありません。
お話の中にも出ていましたが、みんなで一緒になって草を引いたり道を作ったり、まさに運命共同体だとおっしゃっていました。そして、迫田さん自身も長く米作りをしているそうです。
迫田さん自身が撮影された、山間米のお酒のポスターの写真を見せていただきましたが、そこに写っている地域の方の素の笑顔は、地域に腰を下ろしている人でないと撮れない距離感の近さを感じるものでした。
そういう写真を撮りたいけれど、なかなか撮れないとカメラマンが言っていたなぁ。と会社員時代のことを思い返してしまいました。
ファストデザインとスローデザイン
トークショーの中で言っていた「米や酒、塩のような神棚にお供えするもののデザインは、しっかりとやらないといけない」という言葉が心に残りましたが、ご自身でライフワークとも言っていた山間米のデザインは、地域の人たちと一緒にお米自体からブランドまで育てていく、まさに「スローデザイン」的なものだなと感じました。
一方、私の主な収入源であるクラウドソーシングは、その性質上、ブランディングのような上流からの関わり方は難しく、仕事をモジュール化してそのパーツを作っているようなものが多くなります。結果、単価も安くなり時間もかけられない傾向が強くなり、スローデザインに対して「ファストデザイン」的なものになってしまいます。
しかし、ロゴデザインのコンペなども多くあり、ロゴなんてまさにブランディングそのものとも言えることですから、この状況は色々と考えさせられます。以前のサバイブログの記事「ベビーシッター事件で感じたクラウドソーシングとのサービスの相違点」でも書いたように、スタートアップしたばかりだったり、都合により法人化して、とりあえずロゴは欲しい。でもお金は無い。というケースもありますので、そういう案件とどう向き合っていくかは、自分のワークスタイルと合わせて考えていかないといけない課題でもあります。
自分の携わっているスローデザイン
クラウドソーシングのようなファストデザインとバランスを取ってというわけではありませんが、出張で現地にも行ってDJもした友達夫婦が経営している姫路の古民家「谷間の家 さんきら」は、これから地域に取ってどういう場所にしていくのか。というような上流からブランディング、デザインともに関われているスローデザインな仕事です。
丁度、ロゴデザインが終わったばかりなので、このブログでも近々お披露目しようと思います。ロゴ1つ取っても、古民家を経営する2人の真摯な姿勢をやり取りから感じ、こちらもなるべく良いものを作ってさんきらを育てていきたいという気持になります。
自分にはなかなか迫田さんのように、その地域に移住して運命共同体的にデザインも進めていくということは出来ないかもしれませんが、とても参考になるお話が聞けたので仕事でも上手くアウトプットしていきたいと思います。
さんきらの今後の展開もお楽しみに!