WEBデザイン不要論の解決策を紙媒体の歴史から考えてみた
昨日の記事「WEBデザインの必要性を文庫本はデザインする必要があるのかを通じて考えてみた」では、紙媒体のデザインの移り変わりから、情報を読み取るためのデザインは定型化する流れがあり、それはどこへでも持ち運べ、いつでも見れる方が良いので小型化しモバイル化する傾向があると定義しました。そして、それはWEBデザインでいうと、フォーマット化されたサイトをスマートフォンで見るので、そんなにデザインする必要は無いという、WEBデザイン不要論につながるというものでした。
今回は、一足先に定型化、小型化の道を歩んだ紙媒体のデザインはその後どうなったのか、ということからWEBデザイナーの今後を考えていきたいと思います。
大きな物にはデザインの必要性がある
文庫本のデザインが明らかフォーマット化していることは、書店にいけば一目瞭然ですが、ハードカバーの書籍もそうかというとそうでもありません。様々な凝った装丁の物があり、表紙や中の紙質もこだわっているものがまだあります。これは単に大きい分だけデザインできるスペースがあるという理由もありますが、文庫本を買わずにハードカバーで本を買う層を考えると、所有欲の問題も浮かび上がってきます。
好きな作家の本を早く手に入れたい。シリーズものを全巻買って、本棚に並べている。このような本を所有することによって欲求を満たすには、その本自体のデザインにもオリジナリティがあり、アート性も高い方が良いはずです。そこで、文庫本よりも、ハードカバーにはデザインの必要性が出てくるわけです。
WEBの場合の大きさの利点とは
紙媒体では、ハードカバーのように大きなサイズの需要も、減りつつも無くならないことはわかりましたが、WEBの場合には所有欲の原理は当てはまりません。しかし、別の意味で大きさの利点はあると思っています。
私は、自宅(実家)でフリーランスをしているため、殆どの時間を27inchのiMacの前で過ごします。仕事の合間についついFacebookなどを見てしまうのですが、ある時友人のアクティビティを見て、「○○と友達になったんだ!」(その人がプロのミュージシャンだったので驚いたこともあり)とメッセージすると、自分が友達になってすぐにそのメッセージを見た友人は、「何で知ってるの?」と驚いていたことがありました。
スマートフォンからFacebookを見ている人は知らないかもしれませんが、PCで見た場合は、画面の右側に友達の最新のアクティビティがずらりと出ていて、いいね!している、写真にコメントしているなどが一目でわかります。つまり、スマートフォンにはモバイル化のどこでも情報が得られるという利点がありますが、大きな画面のPCには1度に多くの情報が得られるという利点があるので、みんながみんなスマートフォンやタブレットに移行するということは無くPCも使い続けるので、そこまでスマートフォン向けのサイトばかりになり、デザインする余地もないということにはならないのでは?と思っています。
WEBにおけるアート性
もう1つハードカバーの書籍の説明で書いた特徴にオリジナリティとアート性があります。これは、定型、フォーマットとは全く逆のことですから、この道を進んで行くというのもWEBデザイナーの生き残る道の1つと言えるでしょう。書籍の世界でいえば、アート性の高い装丁をし続ける祖父江慎氏のようなスタンスで、WEBデザインをし続けるというのも手かもしれません。私も基本的に電子書籍派ですが、祖父江氏のデザインした本は、紙で手に取って読んで、本棚に並べておきたくなります。
しかし、誰でもそのようなアート性の高いものが作れるわけではありませんし、情報を得るためのサイトでは場合によってはアート性が邪魔になることもしばしばあります。そんなのいらないから早く動いてくれよ…、というサイトに出くわしたことは、誰もがあるはずです。
遅れているので仕事がある!?
WEBのアートディレクターをやっている友達と、今回の話題についてやりとりをしていたところ、「アメリカのWEB業界は日本より3年進んでるって言われるけど、アメリカでは既に純粋な制作会社はほとんどない。純粋な制作だけやる会社は近年中に淘汰されると思うよ。」との意見をもらいました。まさにデザインだけという意味では、不要な方向に進んでいくという話です。
しかし、この日本が遅れているという点ですが、地元に戻ってきて地元のサイトを見てみると、その遅れように度肝を抜かれます。これはWEB創世記のままのデザインか!?と思わされるものも多く、逆に残したくなる気にすらなります。
ただ問題は、そのいうサイトはデザインだけでなく、情報の整理もぐちゃぐちゃなものが多いということです。病院のサイトなのに診療時間が載っていなかったり、どこを見てもアクセスが無かったり…。作っている意味がよくわかりません。これは、愛媛に限ったことではなく、地方ではどこでもある現象だと思われるため、アメリカに送れること20年くらいでしょうか…。そういう意味ではフリーランスで上手くやっていければ、地方はまだ当分はWEB制作オンリーでもやっていけるのかも!?しれません。
まとめ
スッキリした解決策は出ていませんが、トレンドの移り変わりが早く、新しい技術が出れば古いものは全く必要がなくなる可能性もある時代もですから、情報を収集しながらも、自分がどこでどのような働き方でWEBデザインを行っていくのかが重要になってくるのではないでしょうか。
サバイブしていきましょう!