上須戒に行く山道

『知能が高い人ほど都会に移動する』は本当か

『知能が高い人ほど都会に移動する』は本当か

上須戒に行く山道

先程RSSにたまった記事を見ていると、lifehackerに「知能が高い人ほど都会に移動する:調査結果」という記事がありました。最近は地元にUターンをして、自分と同じようにUターンした人や、愛媛に移住してきた人と出会って話をすることも増えてきました。そして、仕事でも地方の観光客を増やしたり、移住者を増やす取り組みに関わっています。

そういう状況ですから、このようなタイトルの記事は見逃すわけにいきません。都会暮らしも田舎暮らしも経験している自分ならではの視点で、これは正しいのかどうかを考えていきたいと思います。

都会暮らしは「精神と時の部屋」のようなもの

漫画ドラゴンボールに登場する「精神と時の部屋」を、皆さんは覚えているでしょうか?はてなキーワードの説明ではこのように書いています。

外界での1日が、この部屋の中では1年(365日)に相当する。短期間でパワーアップできる、修行に最適な環境。

私は今はUターンして愛媛の田舎にいますが、大学から会社を退職するまでの12年間は東京にいたので、感覚的には都会と田舎を半分づつ経験しているような感じです。そんな自分が言える都会と田舎の大きな違いは、情報量の多さです。同じ1日を過ごしているだけでも、感覚的にが都会の方が田舎の10倍くらいの情報が入ってくるような気がします。

都会には情報だけでなく、人や物も集まってきます。ですから、田舎だと身に付けるのに1年かかるスキルが、都会だとその道のプロフェッショナルにレクチャーを受けることができて1ヶ月で身に付いた、というようなことも実際にある話です。この差はインターネットによってかなり埋められてきたとは思いますが、とはいっても、もう差がありません、というのには無理があるのが現状です。

都会で暮らして、常に新しい情報をゲットして、刺激的な人に会うことで、自分も成長して知能も上がるというのは否定できる話ではなさそうです。

田舎で生きていくのに必要なのは地頭力

一方、田舎の環境はどうかというと、とにかくのんびりしています。その雰囲気に飲み込まれて、ついつい労働意欲を吸い取られていくような感覚すらあります。四国最大級の都市、松山であっても、そこで感じる時間の流れは東京よりもはるかに遅いので、自分の住んでいる田舎にいたっては、おちおちしていると完全にリタイア生活のようになってしまいます。

そんな環境で生きていけるのだから知性はいらない、と思うかもしれませんが、一概にそうとも言えません。まず、本当に過疎化している田舎は仕事がありません。サバイブログでも「愛媛の有効求人倍率と私がフリーランスを選んだわけ」でも書きましたが、コンビニのバイトですら隣町まで車で通うようなことになっているほど仕事がありません。

しかし、それは雇用される側として考えると仕事はないかもしれませんが、田舎だからこそある自然や環境を活かしてどうマネタイズできるか、どうすれば観光客を増やしたり、移住者を増やすことができるかなど、仕事を作っていこうと考えると結構色々なことが考えられます。そして、このようなことを行うために必要な知能は、学歴や知識の多寡では測定できない人の本来の頭の良さ、地頭力である場合も多いはずです。そして、地頭力は = サバイブ力と言い換えることができるかもしれません。

田舎で楽しく生活しながら、お金もしっかり儲けようと思うと、それはそれで都会暮らしとは違う知能も必要になってくるということです(私もまだまだできていないので頑張ります)。

賢い人は移住することをいつも選択肢として持っている

実は今回ピックアップした記事にはこんな事情があります。

この研究データは1996年で終了しているため、アメリカ人の移住様式はその後の20年間で変化している可能性もあります。

え!?この20年間てかなり激変してますよね??それこそハイパーノマドみたいな人種も登場したし、ワークスタイルも価値観も変わっているでしょうし…。そして、最後にはこう結ばれています。

この結果から私たちが学べることは、賢い人は移住することをいつも選択肢として持っているということでしょう。もしあなたが都会に住んでいて、今まで聞いたことのない名前の田舎町出身の方が隣に住んでいるのなら、話しかけてみてください。彼らが緑の多い郊外に移動してしまう前に、何か学べるものがあるかもしれませんよ。

確かに、賢い人の方が選択肢が多いのは確かですし、その選択肢の中に都市だけでなく、田舎が入る可能性もこの20年でかなり増えたのではないでしょうか。もしかすると、すでに「知能が高い人ほど田舎に移動する」という時代になっているかもしれません。

しかし、問題はどちらに住んでいる人が知能が高いかではなく、都会と田舎のメリットを知り、そこから自分を得たいもの得て、自分の生きていくための選択肢を増やしていくことではないでしょうか。そういう意味ではどちらも体験してみるのが、1番良いと思います。

移住となるとなかなかハードルも高いけれど、1ヶ月くらいの「都会と田舎の交換生活体験」のようなことを企画すると結構面白いんじゃないかと思っています。ていうか、実際にやってみたいですね!企画を考えよう。