【フリーランスのお金の疑問】実家で開業、親への家賃は経費になるの?
先日、税務署に開業届を提出に行って、フリーランスのお金の疑問についても聞いてきた!シリーズの第2段です。
【フリーランスのお金の疑問】退職した年の確定申告ってどうするの?今回はタイトルの通り、実家を仕事場にした時に「親に払う家賃は経費になるのか?」という疑問です。
まず、確定申告とは何なのか
1月1日〜12月31日までの所得を計算して、次の年の3月15日までに税務署に申告し、その所得に対しての所得税を計算して納税することを確定申告と言います。
会社員時代は所得税は給料から天引きされているため、改めて給与明細を見ない限りは意識することは無いと思います。
しかし、フリーランスでは自分の所得は自分以外にはわかりませんから、自分で申告して、その額に対して税金を納めるのは当然のことです。
ちなみに所得というのは、
売上 − 経費 = 事業所得
事業所得 − 各種控除 = 課税所得
です
例)デザインの仕事をして1年間に売上が500万あったが、カメラマンにギャラを払ったり、交通費がかかったり、資料の本を買ったり、打ち合わせで食事をしたり…、仕事関係の出費の1年間の合計が300万円かかりました。この場合は、
500万 − 300万円 = 200万円 これが事業所得。
さらに青色申告で申告したため、65万円の控除が受けられたので、
200万 − 65万円 = 135万円 これが課税所得。
つまりこの例でいくと、課税所得である135万円に対して所得税がいくらかかるか計算し、それをちゃんと納めた時点で確定申告は終了です。
仕組みとしては単純明快でシンプルですよね!
なぜ確定申告は難しくて面倒だと言われるのか
先ほどの説明を見た限りでは、わかりやすい仕組みだと思いますが、とにかく確定申告と言えば難しくて面倒なイメージがあります。
その理由は以下の2つのように思われます。
- 青色申告に必要な複式簿記という方法が難しい。
- 経費の仕分けが面倒だ。
1は確かに少しは複式簿記を勉強する必要はありますが、会計ソフトを使用することで複式簿記の知識がなくても概ね大丈夫だと思います。(あるに越したことはありません)
2も会計ソフトによっては口座やクレジットカード、電子マネーからAmazonまで自動で同期出来るものがあるので、かなり楽になっています。
しかし、口座振込やクレジット払いだけのお金のやり取りだけでなく、現金のやり取りもあるのである程度まえに記録しておく必要はありますし、そもそもこれって経費として計上して良いの??という疑問が度々生じてきます。
経費として計上して良いかのポイントは、それが事業の利益に関係あったのか。ということになるのですが、明確な線引きが出来ないところもあるので色々悩んでしまうわけです。
そして、今回の疑問は、自分の親に支払う実家の家賃が経費として計上出来るかどうかです。
結論、親への実家の家賃の支払は経費にはなりません
経費になるでしょ!と期待していたみなさん、残念ですがこれは経費にはならないんです。
しかし、これも最初の確定申告の計算を考えてみると当然のことで、
例)デザインの仕事をして1年間に売上が500万あったが、仕事関係の出品の合計が300万円かかり、親に家賃を毎月20万払って年間240万支払いました。
家賃を経費に計上してしまうと、
500万 − 300万円− 240万円 = −40万円 これが事業所得。
事業所得が赤字のため課税出来る所得はありません。
つまり所得税0円。
しかも、青色申告の場合は赤字を経費として3年間は繰り越せるので
次の年の課税所得が100万円だとしても
100万 − 40万円− 60万円 = 40万円 が課税所得となり翌年の税金までお得になってしまうわけです!
こんなことが可能ならみんなやってますよね…。そもそも毎月の家賃20万円てどこから出てきた金額やねん!という話ですしね。
用は家族間で適当に額を決めて、それを親に払ったところで経費にはなりません!ということです。
ちょっと待った!でも経費って事業の利益に関係している支出じゃないの!?
家があって、電気があって、水が出て、ネットも繋がるから仕事が出来てるんだ!家賃のどこが経費じゃないんだよ!
という怒りの声も聞こえて来そうです。
確かにそれはその通りで、仮にマンションの1人暮らしでそこを事務所も兼ねて使用している場合、
プライベートのスペースと仕事のスペース、または使う時間の割合などによって仕事で使用した割合分は経費として計上することが出来ます。
これを「家事按分」と言います。
例)
二部屋あるマンションに住んでいて、一部屋を事務所にして仕事をしていれば家賃の半分は経費に計上可能。
ネットを使っているが殆どは仕事に使っているのであれば、月々のネット代の8割は経費に計上可能。
という具合です。
そしてこの場合の割合の出し方は一般常識です!つまり、住んでいるのに家賃全額を経費してしまうと、あなたここで生活もしてるでしょ!と税務署から突っ込まれますよ!という感じです。
家事按分は実家でも使える!
実家で作業していても、光熱費や通信費はかかってますよね?
でも、基本的にこれらの名義は親になっていると思いますが、それならその名義人(親)の口座に毎月これらの請求額を支払えば、その額の内の仕事に使った割合を家事按分として経費に計上できるというわけです!
この時のポイントは、
- ちゃんと税務署が見てわかるように口座に振り込む(現金払いにしない)
- 按分した額を口座に振込むのではなく、請求額を払った上で按分して経費にする
です。1は第三者が見てもちゃんとわかるようにするため。2は確定申告でややこしくならないようにするためです。(割合を計算して口座に振り込んでも、計上されないことはないのかもしれませんが、一目で請求書と照らし合わせて支払ったと確認しづらくなりますからね)
つまり、実家でかかっている光熱費や通信費を家賃として親の口座に振り込めば、家事按分することによって経費として計上出来る!という答えになります。
やっとスッキリしました。同じような環境でフリーランスの方は、是非、参考にしてみてください!