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ベビーシッター宅での2歳児死亡事件で感じたクラウドソーシングとの共通の問題点

ベビーシッター宅での2歳児死亡事件で感じたクラウドソーシングとの共通の問題点

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3月17日に起きた「ベビーシッター宅での2歳児死亡事件」。なぜこのような痛ましい事件が起きたのか、この事件の解説と現在のベビーシッター業界のしくみについて書かれた記事について読んでみました。

そうすると、ベビーシッター業界だけでは無く、クラウドソーシングなども含めたネットを介したビジネスマッチングで起こる共通の問題点が見えてきました。

ベビーシッター宅での2歳児死亡事件についての解説 | 駒崎弘樹

事件の概要とベビーシッター業界の現状

まずはこの事件の概要を解説記事から引用させていただきます。

2歳と8ヶ月の子どもを育てる20代のシングルマザーが、ベビーシッターのマッチングサイト「シッターズネット」を使い、男性シッターに泊まりがけの保育を3月14日に依頼したところ、お迎えのタイミングで連絡がつかなくなり警察に連絡。警察が3月17日、埼玉県富士見市のベビーシッターが保育室として使っているマンションの1室に入った所、2歳の子どもが亡くなっていて、8ヶ月の子どもは無事保護された、というもの。

TVでも何度も報道されていたニュースなので、ご覧になられた方も多いと思います。そして、このような事件が起きてしまった背景にあるベビーシッター業界の現状を、記事からまとめるとこのようになります。

  • ベビーシッターという自宅において子どもを保育者が預かるサービスは、主にベビーシッター企業によって提供されている
  • ベビーシッター企業とは別に、個人シッターという人達がおり、どこにも所属しないで、ベビーシッターを名乗って個人事業を行っている
  • 採用や研修の問題から企業よりも個人シッターの方が安く発注できるが、優れた保育者から全くの素人までおり玉石混交状態

このような現状があり、個人シッターと利用希望者を結びつけるビジネスマッチングサービスを使った結果、ベビーシッターの品質管理がしっかりと行われておらず起きた事件とも言えます。

保育やベビーシッターに関しては行政などにも関わってくる問題で、解説記事もそのような話に続いていきます。しかし、これはベビーシッターに関わらず、ネット上のビジネスマッチでは起こりやすい(起きている)問題点でもあります。

クラウドソーシングの問題点

私も使っているクラウドソーシングでも、似たような問題があります。ピックアップしてみると、

  • 案件の単価が安い。そのうえ更に価格競争で仕事を取ることになりがちで、更に安くなってしまう
  • プロから未経験者まで登録しているので玉石混合状態
  • 結果、安くても仕事を受ける人はいるのでクラウドソーシングに発注すうような仕事の業界(デザイン、プログラミング、ライティング)の単価が全体的に下がる

このようにベビーシッターの場合と、同じような問題が浮かび上がってきます。そしてこれらの問題点は、仕事の間口を広げてマッチングさせるネットサービスの特徴を考えると、解決するのが難しい問題でもあります。

質よりも値段の安さに重きを置く場合もありますから、登録者の質を管理するコストが多くかかって、サービスの値段が上がるとなると、良いのか悪いのかわかりません。

問題点も含んだ良い点

しかし、それらの問題点は逆にいうと、

  • 専門的なスキルが無い人たちにも雇用に機会を与えている
  • 高くて使えなかったようなサービスを受けられる人が増えている
  • 場所や時間に縛られないワークスタイルを実践しやすい

などの良い点もあります。自分も今の収入の多くはクラウドソーシングからで、金額はこのブログでも1月2月と売上報告をしています。実家だからなんとかやっていける額しか稼げていませんが、田舎でデザイン会社もなければ営業に行くところも見当たらないような場所なので、クラウドソーシングがなければ市街地に出て就職するか、コンビニや居酒屋でもバイトでもしていなければ今の収入すら入っていません。

そういう意味では自分自身もクラウドソーシングという新しいサービスのおかげで、今までに無かったワークスタイルで収入を得て、会社員時代とは違うライフスタイルをおくれており、そのような人たちはこれからも増えていくはずです。

まとめ

ネット上でのビジネスマッチングは、安価でサービスを提供出来るため便利な反面、クオリティも千差万別で受注側としては仕事の単価安くなる。この問題は簡単には解決出来ませんが、私が登録してクラウドソーシングの中には最初に登録のための試験があり、仕事内容もコンペではなく完全に受注型のところもあります。ですから、未経験者でも誰でも受かるということはありませんが、案件の価格もそんなに安くは無く、クオリティも一定以上を保っていると思います(ただし、仕事がいつでもあるわけではありません)。

クリエイティブ系のクラウドソーシングと、今回の事件での1番の大きな違いは人の命に関わるというところです。この事件でせっかく良い面もあり助かっている母親もいるであろうベビーシッターのネットサービスが無くならないように、適正な品質管理が出来るシステムを作り、行政も根本的な子育ての環境改善により力を入れるなどして、同じような事件が2度と起きないようにする必要があると思います。